マンション管理

まだまだわかりにくい、中古マンションの管理の「質」

マンションの管理組合は、ご存じの通り、マンションの区分所有者で構成するマンションの自治組織のことです。

 

管理組合は長く安心して暮らせるマンションを維持するために、毎月の修繕積立金の使途や管理方法などを話し合いで決めていきます。

ですが、いわゆるこの「マンションの管理」、物件によって大きく差があるのです。

 

大規模マンションや近年増加しているタワーマンションなどは、修繕積立金だけで軽く数億といった金額になり、その使い道は重要です。

 

ですが、管理組合がうまく機能していないマンションだと、理事長や管理会社の担当がその資金を使ってしまうという事件の例もあります。

例えば、大規模修繕工事をきっかけに資金不足に

また、大規模修繕工事では実際に必要な金額以上に知らずに高い金額で発注してしまうという例も多々あります。

 

施工会社選定において談合などにより、本来の工事価格の2割、3割上乗せされた金額で契約されていることもあります。

 

メディアでも取り上げられる、マンション修繕積立金不足、スラム化の原因の一因がここにもあります。

 

大規模修繕工事で本来支払う以上の金額を知らずに払ってしまいう、結果、修繕積立金が不足し、必要な修繕ができなくなる、すると建物はどんどん老朽化していく・・・という負のスパイラルに陥っていくのです。

積極的に第三者を活用する組合も

管理組合では、大規模修繕工事のほかに、共用部分の保全や修繕積立金の運用、建て替えに関する合意形成など、幅広い問題を協議していく必要があります。

 

ですが、管理組合といっても、マンションを所有する皆さまの集まりで、建築についての専門知識を持っているわけではありません。そこで、管理組合によっては、第三者である専門家の客観的なアドバイスを取り入れているところもあります。

 

例えば、大規模修繕工事であれば『本当に今必要な工事なのか』『価格は妥当なのか』といった意見を専門家に求めるのです。

マンション購入者には、その管理の質は見極めにくい

お金の使い道だけでなく、管理組合の質はマンションの将来を大きく左右します。ですが、まだまだこれらは市場での資産価値にそれほど反映されていないのが現状。

 

例えばあるところに、ともに築40年、似たような規模、スペックのマンションが並んで建っています。片方のマンションは、必要な修繕がきちんとなされ、将来必要な修繕積立金も計画的に集められている、方やもう一方は、必要な修繕ができず朽ち果てていくのを待つだけ、という状態。

 

これだけ管理状態に大きな差があっても、今現在、この二つのマンションは同じような価格で売られているのです。

 

管理組合運営がうまくいっているか?修繕積立金はどれくらい貯まっているのか?修繕積立金の根拠となる長期修繕計画はきちんと見直されているのか?といったことを、しっかりと調べなければ、知らずに後者のようなマンションを契約してしまいます。

 

中古マンション購入者にとって、マンションの管理力はまだまだ目に見えない部分。

 

欠陥住宅をつかむまいと、しっかりと建物の状態を調査するように、中古マンション購入で失敗しないためには、マンションの管理状況もきちんと確認する必要があるのです。

中古マンションの管理力を左右するのは?

では、どのように管理組合の良しあしはどう決まるのでしょうか?

 

マンション管理を円滑に適切に行うにあたり、一番の敵は「区分所有者の無関心」。

 

通常、年に一度、管理組合総会が開かれますが、本当に管理に関心へのないマンションは、100戸あっても数人しか集まらないといいます。結果、その数人で重要なことも決められてしまうのです。

 

一方、管理への意識・関心の高いマンションでは、50%、70%と集まります。修繕積立金や管理費をどう使っていくか?会社経営のようにきっちり管理しているマンションもあります。

老朽化したら建て替えればいい??

とはいえ、どんなマンションもいつかは寿命を迎えます。

 

古くなったら、建て替えればいいんじゃない?と思う方も多いようですが、
実際に建て替えとなると、さまざまなハードルが立ちはだかります。

 

建て替えの実現可否を決めるのは主に、「建て替えた後に、今以上に規模を大きくできるか?」ということ。建て替えによって増えた床面積を住戸として分譲し、それを建て替え費に充てる計算です。

 

それができるようなマンションはごくごく一部。

 

もしそれができないようであれば、年金暮らしで単身住まいの高齢者であっても、1住戸2000万、3000マンという建て替え費用を負担することになるのです。

 

実際に建て替えを検討するような築年数では、居住者の高齢化も進んでいるでしょう。

 

実際、全住戸でこんな金額を用意してもらえるようなマンションはないでしょう。

実は思ったより長い、マンションの寿命

とはいえ、日本の住宅は海外に比べ、寿命が長くないように思われている節がありますが、少し誤解があります。

 

マンションで言えば、新築時のコンクリートは意外と強くありません。年月を経るとともにコンクリートは強くなります。

 

だいたい50年くらいをピークに強固なものとなり、そこからまた弱くなっていくのです。建物の劣化の大きな原因は、コンクリートがひび割れした際にそれを放置してしまうことです。

 

こまめに点検、手入れをして50年を過ぎた後もメンテナンスを適切に行えば、建物自体は100年持つともいわれます。

 

ですが、それを怠ることで30年、40年で建て替えが選択肢として浮上してくるのです。

購入したら、あなたもマンション管理の当事者です

これからマンションを購入される方は、そのマンションに建物の維持管理を適切に行える管理力を有しているかどうか、確認しましょう。

 

さらに、入居後はご自身もぜひそのマンションの資産価値維持、向上のために管理組合運営に積極的に取り組むことをおすすめします。

 

マンションを購入した以上、あなたも大きな資産を共有する運命共同体に参加していることになります。

 

編集:BORDER5編集部
監修:さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

一覧へもどる