グレーシアパーク八王子みなみ野が取り組む点ではなく面で支えるマンション管理組合運営とは?<後編>
グレーシアパーク八王子みなみ野は2000年11月に竣工したBORDER5にも登録されている管理良好マンションです。非常に工夫されたマンション管理組合の運営の秘訣を前編と後編に分けて公開します。
自治防災会を立ち上げたきっかけ
当時まだグレーシアパーク八王子みなみ野に自治会がなかったとき、管理組合が防災組織について八王子市に問い合わせをしたところ、防災は自治会が行うという返答がありました。そのタイミングでグレーシアパーク八王子みなみ野にはまだ自治会やコミュニティがないことに気づいたため、早速マンションの管理規約を変更しました。管理組合の事業計画の中にコミュニティづくりを盛り込み、防災計画や高齢者福祉についても追加され、そこからグレーシアパーク八王子みなみ野の防災対策ができるようになりました。
そこからどんどん活動が始まり、落ち葉清掃から子どもたちのイベントなどが行われました。さらには居住者の年齢が上がってきたタイミングで健康的な身体づくりを目的にした活動や取り組みも増やしています。
世間では最近多くの自治会で活動が長続きしないと言われています。その最たる原因は活動を続けるための「ネタ不足」です。自治会活動を持続的なものにするためにグレーシアパーク八王子みなみ野では企画会議みたいなものを大仰に立ち上げるのではなく、まず企画する人間がマンション内の親しい人たちに声をかけトライアルでやってみるそうです。同じようにマンション内の小さなコミュニティにどんどん聞いていくことから始めて、自治会で開催できる企画をちょっとずつ増やしています。
規約細則委員会の役割
グレーシアパーク八王子みなみ野では正式に規約細則委員会を2023年に立ち上げました。この委員会を立ち上げたきっかけは、今後マンション居住者の高齢化が予想されるため、マンション管理組合を持続的に運営するために規約の枠組みを見直したことがきっかけでした。
多くのマンションは標準管理規約に合わせて管理規約を作ることが当たり前になっています。グレーシアパーク八王子みなみ野の場合は、むしろこれから先のマンションニーズに合わせて規約を検討されており、標準管理規約も確認しつつも、内容をそのまま利用するわけではなく、マンションに合わせた形で柔軟に取り込んでいます。
理事会の継続的なものにするためには
グレーシアパーク八王子みなみ野では理事の任期は最長3期までに設定されています。これは少なくとも各区分所有者が役員を2回経験するまではなるべく多くの区分所有者に管理組合の仕事に関わってもらいたいという意向があるからです。その代わり、専門委員会(長期修繕委員会など)で管理組合の永続性を担保できる体制にしており、区分所有者の誰が理事になっても専門委員会でサポートできる体制になっています。
専門委員会活動を活発する術
なかなか他のマンション管理組合で専門委員会を立ち上げても上手くいかないケースに関して、グレーシアパーク八王子みなみ野では、輪番で理事になる方々の中から専門的な知識を持っている人がいた場合などに専門委員会へ声がけをされるそうです。つまり輪番制で理事になり、理事会活動もしくはもとより専門的な知識を得ている人は、その後専門委員会へスライドしていくことで、永続的にマンション管理が出来る体制をポジティブな形でグレーシアパーク八王子みなみ野では作り上げられています。
またこれらの活動を前向きに続けていくためには適度なコミュニケーションが必要です。グレーシアパーク八王子みなみ野では年に2回ほど大きなバーベキューを行っており、気軽に住民がそういった場で話ができる場を作っています。そのため枠組みを設けて仕掛けるわけではなく自然とコミュニティが醸成されていくなかで実現されています。
持続的な活動をするためのパートナー企業選定のルール
グレーシアパーク八王子みなみ野でのパートナー企業選定のルールは、プロポーザルを掛けて選ぶものの、単純に金額ではなく、しっかりと寄り添ってくれるところを選ぶのが重要なポイントとされています。その際一度はマンションに候補企業が訪れプレゼンを受けるわけですが、管理組合の皆さん曰く現地調査のヒアリングの中身を見れば水準がわかるそうです。また竣工からこれまでどんなパートナー企業と関わりがあるのかについては、しっかりとファイリングされ可視化された状態で保管されています。
持続するためのマンション管理組合運営の工夫
マンションの竣工からこれまでの資料を保存する上でも、長期修繕委員会が理事会のように輪番制ではなく永続的にあることは大きな意味があります。グレーシアパーク八王子みなみ野の理事会は輪番制なので、理事の継続性に関しては毎年理事のメンバーが代わるためデメリットがあります。しかし長期修繕委員会が発足してからは、委員会は輪番制ではないため情報がずっと保存できるメリットができました。
グレーシアパーク八王子みなみ野のようにポジティブな管理組合運営かつコミュニティが醸成されていれば、管理会社に頼らずとも永続的なマンション管理が可能になります。さらには規約細則委員会にて今後の区分所有者の高齢化対策として、理事の輪番制や理事になる資格をどうするかを議論されており、2親等までの理事要件を3親等などに緩和することで次の世代につなげやすくすることを模索されています。
アンケートは面でマンション管理組合運営を支えるためのツール
グレーシアパーク八王子みなみ野では総会に議題を提出する前に、アンケートを有効活用されています。数年間アンケートを取ったのちに議案化するものも多く、しっかりと議案を通すための機運醸成を図っています。組合の皆さんによると、アンケートの回答率が上がっており現在8割以上の回答率があるそうです。管理組合では管理組合ニュースが定期的に必ず発行され、マンション内のイントラネットも整備されるなど、管理組合からの情報発信が明確になっています。そのため住民もアンケート内容がジブンゴト化されやすく、アンケートの回収率が高まっています。グレーシアパーク八王子みなみ野ではアンケート結果から総会へ提案する流れがつながり、PDCAサイクルがポジティブに回っています。
例えばEV設備の導入も持続可能なマンション管理を考えた上で導入するための補助金を現在申請されています。こちらに関してもアンケートをマンション内で3年ほど実施。最初は7割がネガティブな意見だったそうですが、積極的に情報開示を行うことで住民の意見もポジティブが上回り、補助金申請を前提にした議案を総会で通すことが可能になりました。これもアンケートをうまく活用されている事例と言えるでしょう。
グレーシアパーク八王子みなみ野での管理組合活動は非常にポジティブな形でマンション管理がされており、運営の工夫は他のマンション管理組合の皆さんにも参考になることが多いのではないでしょうか。
今回の内容については動画でも【前編】【中編】【後編】で当社のYouTubeチャンネル「マンション買うなら聞いてくれ」で公開しております。ぜひ合わせてご覧ください。