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コミュニティの基盤をつくるマンション内イベントとは?

さくら事務所では、全国のマンション管理組合からコンサルティング業務のお声がけをいただいています。

 

今回はその中から、関西でも屈指の管理良好マンション「ミリカ・ヒルズ」についてご紹介します。

 

「ミリカ・ヒルズ」は、2013年に竣工した大阪府吹田市にある総戸数633戸の大規模マンション。

 

子育て世帯が約7割を占め、地方自治体との新たな連携事業などマンション内外を問わず、積極的なコミュニティ活動を行っています。

 

さくら事務所関西の協力のもとミリカ・ヒルズ団地管理組合法人の代表理事である髙垣 壮平氏のインタビューを行いましたので、3回に分けてご紹介します。

 

最初のテーマは、そのコミュニティ活動の礎ともなった、マンション内イベントについてです。

コミュニティの基盤をつくった、マンション内イベント

BORDER5:今回、関西ですごくおもしろいコミュニティ活動をされているマンションがあると、「ミリカ・ヒルズ」さんをご紹介いただきました。マンション内のイベントはずいぶん頻繁に行っているそうですね。

 

髙垣氏(以下、敬称略):コミュニティイベントは、毎年4月~10月の7ヶ月間、毎月何かしらのイベントを企画・開催しています。このうち、4月(春祭り)、8月(夏祭り)、10月(ハロウィン)は敷地の隣接するミリカ・テラス管理組合との共催で、規模も大きく、イベントに係る費用も折半というかたちでやっています。

 

また、12月にはミリカ・ヒルズで最大規模のクリスマスイベントを開催しており、1年間を通じて4月~12月は何かしらのコミュニティイベントを行っていると言えますね。(※写真はクリスマスイベントで佐那河内村の方に披露していただいた阿波踊りの様子。佐那河内村との連携については次回、ご紹介します)

 

BORDER5:そこまで頻繁にイベント活動を行うようになったきっかけは何だったのでしょうか?

 

髙垣:ミリカ・ヒルズは633戸を抱える大規模マンションですので、その大勢の居住者同士の繋がりを深めるべくスタートしました。

 

他の地域では自治会が担うコミュニティ活動を、ミリカ・ヒルズでは団地管理組合法人が担える様に関連規約細則を変更したのです。

 

当地域にはミリカ・ヒルズの他に住宅がないので、管理組合と自治会の二重管理は弊害しか生まないと考え、主体的にマンション団地管理組合法人が表に出るようにしています。(自治会もありますが、対吹田市行政の窓口として設置しており、その後の交渉事は全て団地管理組合法人として行っています)

 

BORDER5:もともと自治会の役割だったコミュニティ活動を、管理組合法人自らがかってでた、ということですね。

 

髙垣:現在も続くコミュニティ活動の基盤が出来たと確信しています。

イベント運営で気を付けている3つのポイント

BORDER5:さまざまなイベントを行っていますが、イベント運営で特に気を付けていること、意識していることなどありますか?

 

髙垣:まずは「安心・安全」。ミリカ・ヒルズでは、子育て世帯が約7割を超え、更に家族構成も4人や5人家族が非常に多いのが特徴です。子供が非常に多い。イベント運営の主体者は団地管理組合法人の組合員ですが、真の主体者は組合員の家族である子供たちとも言えます。

 

子供は予測できない行動を生むので、安全には二重三重の予防線を張っています。また、子供が友だち同士での参加になった場合であっても安心に参加できるよう、飲食物はアレルギー表示から販売時の声掛け、不審者対策、自転車等の車輛規制に加え、積極的なイベント参加者への声掛けを行っています。

 

あと、イベントなので終始笑顔で要ることが運営者の前提ですね。毎回準備も大変ですし、参加者数に比べ明らか運営者側の人数が不足しており、どのプログラムでも蜂の巣をつついた感じになります。

人たるもの余裕がなくなると笑顔が消え勝ちですが、笑顔を絶やさないように、心掛けています。子供にとってはミリカ・ヒルズが故郷であり、旧来以前の地蔵盆や村の祭りがミリカ・ヒルズであることを毎回運営者には伝えています。

 

また、「運営者はイベント終了時まで運営に徹すること」もポイントです。

運営者もイベントに参加したい気持ちは大いにありますが、運営者が参加者に変わる様は見苦しいこと他ないと思っていて。イベントの最後まで参加者を包み込む様な、ミリカ・ヒルズのイベント運営者はそんな存在でありたいと考えています。

他の理事を牽引する「負担を負担と感じないポジティブ思考」

BORDER5:ミリカ・ヒルズは、積極的な活動もさながらに、その企画力がずば抜けているとも伺っています。その分、理事さんたちの負担も大きいのでは?と思いますが、いかがでしょうか?

 

髙垣:何事においてもそうですが、負担と感じれば委縮してしまいますよね。負担と感じないポジティブ思考な一部の理事役員が他の理事役員を牽引していることが非常に大きいと言えます。

 

管理組合業務は、本来「私人」の業務ではなく、マンション愛や他人に対する思いやり、献身愛で支えられ、且つ報酬が生じない無償のボランティア。

 

この辺りはある程度、これらの想いを持つ一部の理事役員の属人化は止むを得ないと考えています。また、企画に携わる理事役員もそうですが、イベント当日、準備~運営~片付けに携わる理事役員の協力も企画と同様に大きいと感じています。

 

誰しも、子供や家族と共にイベントへ参加されたい気持ちはおありでしょうが、それをせずイベント運営に注力頂ける姿は、ご指摘の「企画力がずば抜けている」と感じられる所以ではないでしょうか。

 

次回は、マンション外部との連携について解説します。

参考「ミリカ・ヒルズ」公式サイト

 

編集:BORDER5編集部
監修:さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

写真はクリスマスイベントで自らサンタに扮する高垣氏

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