マンション管理
【前編】築10年未満で「三冠」達成の偉業!ザ・パークハウス横浜新子安ガーデンに学ぶ、爆速の理事会運営と革新的な財務・修繕戦略
今回はBORDER5のアンバサダーを務める應田が、ザ・パークハウス横浜新子安ガーデンの理事の皆さんに、管理良好なマンション管理の秘訣を伺ってきました。まずは前編。
まずは自己紹介から
應田『本日はお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。BORDER5のコラムとして、ザ・パークハウス横浜新子安ガーデン様の素晴らしいお取り組みを前後編の2回に分けてご紹介させていただきたいと思います。本日は理事長の福地様、副理事長の野邨様、そして外部監事として参画されているマンション管理士の大浦様にお話を伺います。まずは簡単に皆様の自己紹介と、マンションの概要についてお聞かせいただけますでしょうか。』
福地『理事長の福地です。当マンションは2015年3月に竣工しまして、現在築12年目となります。本日はよろしくお願いいたします。』
野邨『副理事長を務めております野邨です。私は第1期から理事に就任しておりまして、今年で理事歴としては12年目になります。よろしくお願いいたします。』
大浦『外部監事の大浦です。私は第6期あたりからこちらのマンションのサポートに関わらせていただいております。最初は外部の修繕委員として入りまして、その後、正式な役職である外部監事に就任しました。本日はよろしくお願いいたします。』
なぜ外部の専門家を「監事」に
應田『ありがとうございます。御マンションは、BORDER5で満点評価を獲得し続けているだけでなく、管理計画認定制度と管理適正評価制度でも満点を獲得され、全国でもごく僅かな「三冠」を、築10年未満のうちに達成されました。これは大変素晴らしい、そして非常に早いペースでの達成だと感じています。その背景にある、スピーディな理事会運営の仕組みから伺いたいのですが、設立当初から何か特別な工夫をされていたのでしょうか。』
野邨『特に特別な工夫をしたというよりも、第1期の立ち上げ時に15人の理事枠に対して12人もの立候補があったことが大きかったと思います。マンション運営に対して非常に前向きな方が多く集まったことで、最初から勢いをつけて様々な改革を進めることができました。その時の良い流れや雰囲気が「これが当たり前なんだ」という見本となり、今までずっと続いているという感じです。なお、当初は15名の理事枠でスタートしましたが、防災や地域活動、資金運用といった理事会が担う業務の幅が年々広がってきたため、それに合わせて枠を18名まで拡大してきました。さらに外部監事の大浦さんが加わり、現在は計19名の体制となっています。』
福地『そうですね。それに、当マンションでは役員に就任すると、皆様自然とスイッチが入るというか、最初はあまり積極的でなかった方でも、いざ担当を持つとしっかりと責任を果たしてくださるという特徴があります。』
應田『なるほど、初期の熱量が文化として定着しているのですね。大浦さんが「外部監事」という正規の役職で入られているのも、非常に珍しく効果的な仕組みだと感じます。外部の専門家を入れるに至った経緯はどういったものだったのでしょうか。』
福地『私としては、大浦さんのようなプロフェッショナルな方にしっかりと意見を言っていただいた方が、住民の皆様も「専門家がそう言うなら」と納得しやすいと考えたのがきっかけです。ちょうど私が子どもの受験で1年ほど理事をお休みするタイミングがありまして、そこでお声がけをさせていただきました。』
大浦『そうですね。最初は修繕のサポート役として入らせていただいたのですが、私の方から「組合の正規の役職である監事に就任した方が、継続性も出ますし、発言にも重みが出ますよ」とご提案させていただきました。顧問という外部の立場からアドバイスするだけよりも、規約に基づいて監事として意見を述べる方が、理事会や住民の皆様にとっても説得力があると感じています。』
理事を「財務」「地域・防災」「共通コミュニティ」の3つの班に分ける
應田『確かに、単なる顧問ではなく正規の監事として関わることで、ガバナンスが強力に機能しますね。組織図を拝見すると、理事18名に外部監事の大浦さんを加えた計19名という体制で、その理事を3つのセクションに分けて運営されているそうですが、これはどのような考えから生まれた体制なのでしょうか。』
野邨『これも第1期の前向きなメンバーが集まった中で、「こういう形がいいよね」と自然に決まっていった体制です。最初からこの3つの班に分ける形を作り、業務量の増加に合わせて人数を増やしながら、それが現在までうまく回っているという状況です。』
福地『具体的には、「財務」「地域・防災」「共通コミュニティ」の3つの班に分かれています。大浦さんにもサポートいただいている「財務」は主にお金を扱う班です。「地域・防災」は、当マンション単独で一つの町内会として機能しているため、地域の広域町内会との連携や、防災訓練の企画・運営、備蓄品の管理などを担います。「共通コミュニティ」は、住民からの意見書への対応や、七夕、ハロウィン、クリスマスなどのマンション内イベントの企画・運営を行っています。理事18名という大所帯を理事長1人でまとめ上げるのは事実上不可能ですから、6名程度のグループに分けることで、役割を明確化しています。』
應田『理事が18人もいると、どうしても「遊んでしまう」人が出てきがちですが、その点はいかがですか?』
福地『おっしゃる通り、全体で18人だと隠れてしまう人も出ますが、6人の班になれば、誰が動いていないかすぐに目立ちます。また、各班の副理事長、特に野邨さんがしっかりと仕事を割り振ってくださっているので、誰もが当事者意識を持って活動せざるを得ない仕組みになっています。それでも3つの班に分類しきれないようなイレギュラーな業務や契約関連などは、理事長である私がすべて引き取ることで、各班が自分の役割に集中できるようにしています。』
應田『役割分担と責任の所在が非常に明確ですね。次に、財務や修繕について伺います。大規模修繕について、かなり早い段階で計画を見直されたとお聞きしました。』
福地『はい。元々は一般的な大規模修繕を予定していたのですが、実際に建物の状態を確認してみると、そこまで深刻な傷みはありませんでした。「足場を組んでまで大掛かりな修繕をする必要は今のところないのではないか」という意見が理事会から出まして、有志による委員会で検討した結果、足場を組まずに必要な箇所だけを直す「中規模修繕」へと切り替える決断をしました。』
大浦『海が近いこともあり、鉄部のサビや、廊下の床シートの浮きなど、ピンポイントで補修が必要な部分はありました。それらを早期に処置することで、建物の劣化を防ぎつつ、大掛かりな足場代などのコストを大幅に削減できたのは、長期的な財務戦略として非常に有効でした。』
應田『無駄な出費を抑えるという点で、駐車場についての見直しも大胆に行われましたね。機械式駐車場を早々に一部廃止されたそうですが。』
福地『はい、入居当初から駐車場の稼働率が空きが目立つ状態で、何年かに1回コストをかけて入れ替えやメンテナンスをしなければならないものが空いているというのはあり得ないことですので、早々に潰しにいきました。』
野邨『第3期の総会で承認を得て、機械式駐車場の一部を解体して平面駐車場に変更しました。稼働率が低下し無駄な維持費がかかる部分を早期にカットできたのは大きかったです。』
ザ・パークハウス横浜新子安ガーデンが取り組んでいるユニークな会計制度とは?
應田『さらに会計制度についても、非常にユニークな取り組みをされています。「駐車場会計」や「災害対策資金」といった特別会計を細かく分けているのは、全国的にも珍しいです。』
野邨『実はこれは、應田さんが関わっておられるRJC48で武蔵小杉のマンションの事例を参考にさせていただき、良い仕組みだと思って真似をしたんです(笑)。一般会計と修繕積立金会計だけでなく、災害時にすぐ使えるお金や、共用部のリフォーム費用、保険の一時払いなどに充てる「特別会計」を設けました。また、駐車場会計を独立させることで、変に赤字が見えにくくなるのを防ぎ、一般会計が赤字になればすぐに気づくようにしています。』
福地『お金の動きをブラックボックス化させないためですね。すべてを一つの財布に入れてしまうと、どこでお金が余っていて、どこで足りないのかが見えにくくなります。細分化することで、「駐車場の稼働率が何%だから今お金が保てている」といったことが数値として明確にわかるようになります。』
應田『透明性の高さが素晴らしいですね。修繕積立金の「均等割り」への移行も、築5年目という異例の早さで実現されました。通常、値上げとなるため反対意見が多く出ますが、どのように合意形成を図ったのでしょうか。』
野邨『第3期の総会で議案を通し、第5期から均等割りに移行しました。段階増額方式のまま将来的にドカンと上がるよりも、最初から一律にしておく方が生涯設計が立てやすいというメリットを、グラフなどを用いて丁寧に説明しました。住民の皆様も、将来の安心のために必要だということを深く理解してくださったのだと思います。』
應田『余剰となっている資金を国債などで運用されているのも先進的ですね。』
野邨『はい。現在、大規模修繕2回分ほどの資金がプールされているため、「資金運用細則」を新たに作成し、安全性の高い国債等で運用を始めました。格付けの基準を明確に定め、理事会で銘柄を決定できる仕組みにしています。また、半年ごとに運用状況を報告することを義務付け、リスクをコントロールしながら少しでも利回りを確保できるよう努めています。』
應田『こうした高度な管理状況を、独自のホームページで積極的に発信されていますが、その狙いはどこにあるのでしょうか。』
野邨『マンションの資産価値を正当に評価してもらうためです。一般的な不動産ポータルサイトの検索だけでは、修繕積立金が均等割りになっているため「積立金が高いマンション」とだけ見られてしまう恐れがあります。なぜ高いのか、どのような充実した管理やコミュニティ活動が行われているのかを、自分たちの手でしっかりアピールすることが、ひいてはマンション全体の価値向上につながると考えています。分譲会社が用意してくれたページもありましたが、それでは我々の独自性が伝わりきらないため、自前で立ち上げました。』
